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宇都宮地方裁判所 昭和24年(行)31号 判決

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告は請求の趣旨として被告が昭和二十四年二月二十二日附公表した別紙記載の原告に対する農業計画は、之を取消す訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求めその原因として被告は別紙記載の昭和二十四年度の農業計画を昭和二十四年二月二十二日附にて公表し且つ原告に通知指示した然し被告は原告に対し昭和二十四年二月八日附を以て同年度農業計画並に生産計画資料土地及び人口調査の件と題する書面を以て食糧確保臨時措置法第五条第二項第二号農地の面積及第五号当該生産者と同一世帯に属する者のみの状況の報告を求め原告がその日限たる同月十三日迄に報告したに拘らず翌朝更に農業調整委員並に同会書記を派遣して同一事項の調査をしながら調査の要点たる同条同項第一号生産者が農地の利用に関し有する計画に付ての意見を徴せずして同月二十二日附を以て区域外扱をなす部落協力委員高山秀一郎方裏口軒下戸板上に態々単名の原告に対する差別待遇的同年度農業計画並に生産計画供出割当表と題する書面を公表したのを秘して同日附別紙記載趣旨の書面を原告に送付した然し右公表の割当表掲記の農地の内畑面積は合計八反と計上しあり実面積を超ゆること三反五畝余なるのみでなく田は六反八歩とあり実面積を超ゆること五筆分三反七畝五歩であつて右部分については原告は生産者でないよつて昭和二十四年三月一日異議申立をしたが同月十九日附で却下となつたので右計画の取消を受くるため本訴請求に及んだと陳べた。(立証省略)

被告指定代表者は主文掲記の判決を求め答弁として原告主張のように農業計画の決定公表通知のあつたこと原告がその主張の田五筆計三反七畝五歩を耕作しなかつたこと原告に対し生産者が「農地の利用に関して有する計画」につき特にその事項を指定して意見を徴しなかつたことは認めるが被告は原告に対し昭和二十四年産米雑穀甘藷馬鈴薯農業計画並に生産計画に対する基礎資料調査として人口及耕地移動調査をなすにつき同年二月十一日原告より回答があつたから同月十二日農業調整委員会を開きその明確を期するため更に農業調整委員代表として大島邦三郎その他六委員同委員会書記を同月十四日原告方に派遣し原告の申立により事実調査の上明確を期し決定したのである又公示は原告は絹板絹台両部落とすべて協力しないため組抜となり個人部落を形成しており特別の掲示場がないため絹板部落の掲示場を利用した右調査の結果は田自作地六反八歩畑自作地四反四畝四歩計一町四畝十二歩であるがその中昭和二十四年産米雑穀農業計画並に生産計画に利用せる面積は田六反八歩畑八畝計六反八畝八歩である村農業調整委員会に於ては原告に同情し右のように畑を八畝歩とした外田に於ては反収穫量を他の同地方の土地より五升も引下げ最低の割当をしたのであるから原告の主張は理由がないよつて請求に応ずることはできないと陳べた。(立証省略)

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